ラジオ会館5階、午後1時15分に上がった理由
ラジオ会館1階のエレベーター前で時計を見た時刻は午後1時10分でした。5階の中古フィギュアコーナーへ上がる人は私一人でした。エレベーターの扉が開くと陳列棚の上の蛍光灯の明かりが先に見え、店員一人が透明ビニールに包まれた箱を解いていました。前日買い取った商品を午後の陳列時間に合わせて出しているところでした。
秋葉原ラジオ会館は午前10時に開店します。しかし中古フィギュアを狙うなら午前中は前日夕方までの在庫しか見られない時間です。ほとんどの中古ショップが前日買取分を当日午後1時から2時の間に陳列するためです。このタイミングを知っている狩人は朝早く急ぎません。むしろ昼食を食べてからゆっくり上がって新しい陳列棚の前に立ちます。
5階の一角で2014年グッドスマイル1/8スケールの箱を見ました。ランクB、箱の角に潰れあり。価格は発売当時の定価の60%程度でした。10年前の絶版品が新品より安い理由は単純です。再販が出たからです。2022年再販量産品が市場に出回って旧版中古価格は急落しました。しかし私はこのBランクの箱を手に取りました。再販デコマスを見ると髪のクリアパーツの色味が初版と違っていたからです。価格ではなく量産時期の彩色の違いを買いに来た人には旧版中古が正解です。
中古ショップ巡礼はフロア順ではなく時刻表で組む
ラジオ会館から中野ブロードウェイまでJRで移動すると20分もかかりません。しかし同じ日に両方を回る人の半分は順序を間違えます。朝早く秋葉原に到着して午前中ずっとラジオ会館を漁り、疲れて午後4時に中野に到着するパターンです。結果的に両方とも最も良いタイミングを逃します。
中野ブロードウェイ2階と3階の小規模ディーラーブースは午後3時から変わります。正確には値札が変わります。午前中ずっと売れなかった商品の一部が午後割引ステッカーを貼ります。大手チェーンの中古ショップはこうした当日可変価格制を使いませんが、個人が運営する10坪未満のブースは午後の客を掴むために2~3千円単位で価格を下げます。この事実を知っている巡礼者は動線を逆に組みます。午前11時中野→昼食→午後1時秋葉原→午後4時中野再訪問。同じ場所に二度行きますが、時間帯を変えて異なる在庫を見るわけです。
2018年夏、私は中野ブロードウェイ2階のあるブースで2009年アルター1/7スケールを見ました。午前11時の価格は18,000円。午後4時30分再訪問時の価格は15,500円でした。ステッカーが2枚重ねて貼ってありました。その日売れなければ翌日また元値に戻ります。私はその場で買いました。転送サービス費用と円レートを計算すると国内中古相場より3万ウォンほど安かったのです。
日本橋でんでんタウンが巡礼コースから外れる理由は何か?
大阪の日本橋でんでんタウンは秋葉原・中野と共に三大オタク聖地と呼ばれます。しかしフィギュアコレクターの巡礼コースでは優先順位が下がります。理由は簡単です。中古物量が少ないからです。でんでんタウンの主力は新品ホビーショップとメイドカフェ、レトロゲーム中古です。フィギュア中古コーナーはありますが秋葉原ラジオ会館のワンフロアより小さいのです。
でんでんタウンに行く人は大体二種類です。第一に、大阪旅行の日程に半日オタク聖地体験を挟み込んだ観光客。第二に、関西地域ワンダーフェスティバル参加のついでに立ち寄る人。純粋に中古フィギュア狩りだけが目的ならでんでんタウンに使う半日を中野ブロードウェイ3階再訪問に使う方が効率が高いです。私も2012年と2016年の二度でんでんタウンに行きましたが、それ以降は大阪の日程に入れていません。聖地巡礼と狩りは目的が違います。
中野ブロードウェイ3階階段、二度目の訪問で見えるもの
初訪問者は中野ブロードウェイ1階から3階まで直線で上がります。エレベーターやエスカレーターに乗ってまず最上階まで上がってから降りながら見る方式です。しかし二度目の訪問からは階段を使います。2階と3階の間の踊り場で息を整えられますし、何よりフロア別陳列密度を体感しながら上がれるからです。
3階は中古フィギュアよりヴィンテージトイとソフビの比重が高いです。1980~90年代の超合金、2000年代前半の食玩未開封品、絶版SDガンダムプラモデルのようなものです。スケールフィギュアコレクターには目を向けるところが少ないです。しかし3階の片隅のブース一つは例外です。2010年前後のワンダーフェスティバル限定ガレージキット(レジンキット)を扱うところです。量産スケールフィギュアでは出ていないマイナー作品キャラクター、原型師個人の趣味で造られたポーズ。価格は15,000円から40,000円の間。箱もなく組立・塗装を自分でしなければなりませんが、この世に数個しかない造形を手に入れられます。
私は2019年そのブースで2011年ワンフェス限定1/8レジンキットを買いました。美少女ゲームのキャラクターでしたが、グッドスマイルもアルターも商品化していない衣装バージョンでした。価格は28,000円。組立・塗装代行業者に頼むと追加で35,000円かかりました。合計63,000円、日本円で6万円以上使ったことになります。しかし完成品をガラスケースに入れた時に感じた満足感は同じ価格帯の量産スケールとは比較できませんでした。この世に数個しかない造形を所有するという感覚。中野ブロードウェイ3階隅のブースはその感覚を売る場所です。
中古フィギュアのランク表はどう読めばいいですか?
日本の中古フィギュアランクは大抵S・A・B・Cの4段階に分かれます。Sは未開封新品レベル、Aは開封済みだが傷なし、Bは箱損傷またはパーツ軽微な傷、Cは箱ひどい損傷またはパーツ欠損です。しかし同じBランクでもショップごとに基準が違います。あるところは箱の角1cm潰れだけでBを付け、あるところは本体パーツに1mm塗装剥げがあってBを付けます。ランク表を信じるより写真と備考欄のテキストを丁寧に読むべきです。
Cランクは罠です。一部のショップは箱だけなく本体は無事な場合でもCを付けます。逆に本体パーツ一つが折れているのに「箱付き」という理由でBを維持するところもあります。私は2017年中野のある中古ショップでCランク2006年マックスファクトリー1/7スケールを買いました。備考欄に「箱なし・本体良好」と書いてありました。実物を確認すると本体はAクラス、箱だけありませんでした。価格はAランク同製品の半額でした。箱を集めないコレクターにとってCランク「箱なし」はむしろコスパの選択肢です。
ランクとは別に重要なのが「ブリスター変色」の有無です。ブリスターはフィギュアを箱の中に固定する透明プラスチックの台座です。10年以上保管するとブリスターが黄ばんだり本体とくっつく場合があります。ランク表には出ませんが備考欄に「ブリスター変色あり」と書くショップが良心的です。この文言がないのに2010年以前の製品なら、直接聞くか開封後返品不可を覚悟すべきです。
秋葉原と中野、どちらが先か?
結論から言うと中野を先に行く方が良いです。理由は二つです。第一に、中野ブロードウェイは午前11時~午後1時の間が最も閑散としています。観光客のほとんどが秋葉原を先に回って午後に中野に来るためです。午前の中野は現地コレクター中心なので通路が詰まらず、陳列棚の前でゆっくり箱の状態を確認できます。
第二に、秋葉原は夕方7~8時まで開いているショップが多いですが中野ブロードウェイの小規模ブースは午後6時には半分が閉まります。動線を組む時、営業時間が短い方を先に消化するのが定石です。午前10時中野到着→2時間巡礼→移動中に昼食→午後1時秋葉原ラジオ会館→午後3時周辺中古ショップ→午後5時中野再訪問。この動線なら両方の午後新規陳列と割引ステッカーを全て押さえられます。
体力配分も考慮すべきです。中野ブロードウェイは狭い通路とぎっしりした陳列で2時間で足が痛くなります。秋葉原は比較的広く快適ですがショップ間の移動距離が長いです。朝の体力が良い時に中野の密集地域を消化し、疲れた午後は秋葉原の広い通路を歩く方が一日を持ちこたえやすいです。15年間学んだ最も現実的なコツです。
ラジオ会館地下1階、誰も行かないフロアに残ったもの
ラジオ会館地下1階はほとんどの巡礼コースから外れます。エレベーターのボタンにB1がありますが押す人は稀です。地下は主に電子部品店と工具店です。フィギュアとは無関係に見えます。しかし地下1階の片隅にフィギュアディスプレイ用品専門店があります。
ガラスケース用LED照明、埃防止アクリルケース、高さ調節透明台座、背景紙のようなものです。オンライン個人輸入でも買えますが、実物を見てサイズを測って買うのは違います。特にアクリルケースはミリ単位の寸法が重要です。1/7スケール専用と書いてあってもメーカーごとにポージング高さが違うため、ガラスケースに入れてあるフィギュアを思い浮かべながら実物ケースに手を入れて高さを測ってみるべきです。地下1階はフィギュアを買う場所ではなくフィギュアを保管する人のためのフロアです。
私は2020年そこでW150mm×D150mm×H250mmアクリルケースを買いました。価格は3,800円。重いので転送サービスに送らず機内手荷物で持ち帰りました。そのケースの中に2015年グッドスマイル1/8スケールを入れましたが、5年間埃一つ積もりませんでした。ガラスケースの中に再びケースを入れる二重保護。やり過ぎだと思われるかもしれませんが、10年後の再販売市場で「埃なし・微細スクラッチなし」ランクを得るにはこれぐらいは基本です。
聖地巡礼と狩りは目的が違う
秋葉原と中野ブロードウェイは二つの訪問目的が混ざります。一つは「オタク聖地を踏んでみる」という観光、もう一つは「国内で手に入らない中古・絶版フィギュアを買って来る」という狩りです。二つの目的は動線から違います。観光客はラジオ会館1階入口で写真を撮り、フロアごとに見物しながら上がります。狩人は5階中古コーナーから直行し、昼食時間以降の新規陳列を狙います。
観光と狩りを一日で全部やろうとすると体力が持ちません。私は初めての秋葉原訪問時、二つを混ぜて失敗しました。午前10時から午後6時までラジオ会館・ソフマップ・アニメイト・とらのあなを回って新刊ライトノベルとアニメイト特典グッズを買いました。フィギュア中古コーナーは「後で時間があれば」と後回しにして午後5時過ぎに疲れてホテルに戻りました。翌日再び行って中古コーナーを見ましたが、前日午後1時に上がった新規買取品はすでに売れた後でした。
二度目の訪問からは目的を分けました。初日は狩り専用。中野と秋葉原の中古コーナーだけを回る日です。二日目は観光兼新品ショッピング。アニメイト特典でもメイドカフェ体験でもゆっくり楽しむ日です。こう分けると中古狩りの成功率が目に見えて上がりました。日程を組む時「秋葉原一日で全部見る」は不可能という前提から始めるべきです。
よくある質問
秋葉原と中野ブロードウェイ、一日で両方可能ですか?
可能ですが両方の「美味しい時間帯」を全て押さえるには再訪問動線を組むべきです。午前中野→午後秋葉原→夕方中野再訪問という風に動けば午後新規陳列と割引ステッカーを逃しません。単純に一箇所ずつ一度だけ行くパターンなら半分の在庫しか見ないことになります。
中古フィギュアのランクBとC、どこまで買う価値がありますか?
Bランクはほとんど箱損傷で本体は無事な場合が多く安全です。Cランクは備考欄に「箱なし・本体良好」のような文言があればむしろコスパの選択肢です。しかし「パーツ欠損」「塗装剥げ」のような表現があれば直接確認するか避ける方が良いです。箱収集をしないならCランク「箱なし」はAランク半額で同じ本体を手に入れる近道です。
ラジオ会館は何階から見るべきですか?
中古フィギュアが目的なら5階から直行し、午後1時以降に上がれば前日買取の新規陳列を見られます。1階から順番に上がるのは観光動線であって狩り動線ではありません。地下1階のディスプレイ用品コーナーはガラスケース管理者なら一度は立ち寄る価値があります。
でんでんタウンも必ず行くべきですか?
大阪旅行の日程に余裕があるか関西ワンフェス参加のついでに立ち寄る程度なら行く価値があります。しかし純粋に中古フィギュア狩りだけが目的ならでんでんタウンに使う時間を中野ブロードウェイ再訪問に投資する方が効率的です。でんでんタウンのフィギュア中古物量は秋葉原ラジオ会館ワンフロアより少ないのです。
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中野ブロードウェイ2階のブース前で値札が2枚重ねて貼られた箱を手に取った時、私はこの巡礼が観光ではなく狩りであることを改めて悟りました。フロア別時刻表を知って動く人と知らずに動く人の間には手に入れる在庫の質が違います。15年間学んだ動線のロジックをこの文章に込めました。今日も皆さんのガラスケースに良いご縁が訪れることを願います。