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YOSIMARKET COLUMN

アルターのフィギュアを3回落とした日に学んだこと:メーカー別の哲学が生む決定的な違い

同じキャラクターをアルターとグッドスマイルカンパニーがそれぞれスケールで出したら、どちらを買うべきか。結論から申し上げると、アルターは造形の完成度を、グッドスマイルは原作再現と安定性を、コトブキヤはコストパフォーマンスと特典を、マックスファクトリーは動勢と立体感を優先します。15年間、各社の製品を交互に集めて学んだのは、「良いフィギュア」の基準は一つではないという事実です。

アルターのフィギュアを3回落とした日に学んだこと:メーカー別の哲学が生む決定的な違い
Photo: wbaiv / CC BY-SA

アルターのフィギュアを3回落とした日

2012年の夏、アルターの1/8スケールを開封した日に起きたことです。台座からフィギュアを外そうとして手から滑り落ちました。3回。毎回床に着く直前に膝で受け止めましたが、その日私はアルターが「手が震えるメーカー」と呼ばれる理由を体感しました。台座の接続部が金属ピン一本だったのです。グッドスマイルならプラスチックの嵌め込み方式で設計するであろう部分を、アルターは1.5mm厚の真鍮ピン一本で全重量を支える設計にしていました。美しいが不安な設計。それがアルターです。

メーカー別の哲学の違いを最も鮮明に見るには、同じキャラクターのスケールフィギュアを複数社の製品で並べてみるとわかります。2018年のレーシングミクを例に挙げましょう。グッドスマイルは原作イラストのポーズを正確に再現し、アルターはスカートの裾の流れを再解釈して造形美を最大化し、マックスファクトリーは上半身をさらに15度ひねって躍動感を強調しました。同じ年の同じキャラクターなのに、3つとも異なるフィギュアでした。

グッドスマイルカンパニーはなぜ「安全牌」なのか

グッドスマイルのスケールフィギュアを10体以上集めて一度も経験しなかったことがあります。箱を開けたらパーツが緩くて外れること。2010年代半ば以降、グッドスマイル製品は嵌め込み方式の設計が標準化されています。台座接続部は二重溝、頭部パーツはボールジョイント、小物は磁石内蔵。ねんどろいどで鍛えられた組み立て安定性がスケールラインにもそのまま適用されています。

原作再現度もまたグッドスマイルの強みです。イラストレーターが監修した彩色見本の写真を見ると「これが立体で可能なのか」と思うような角度のポーズも、量産品でほぼそのまま出てきます。2019年以降発売されたグッドスマイルのスケールで、彩色見本と量産品の落差が大きい事例をコミュニティで見つけるのは困難です。もちろん、その分造形的な冒険も少なくなります。アルターのようにスカートの裏地に3段階グラデーションを入れたり、半透明パーツを重ねて深みを出すような「過剰ディテール」は期待しにくいです。

価格帯は1/7スケール基準で2万円前後。アルターより20〜30%安く、発売スケジュール遵守率は業界最上位です。予約後1年以上待つことは稀です。2021年のコロナ禍でも、グッドスマイルはほとんどの予約製品を四半期内に出荷しました。流通網が盤石で生産工程が標準化されているためです。

Photo: Suliveyn / CC BY-SA

アルター、美しさの前に実用性を放棄する会社

アルターのフィギュアを初めて手にした人は大抵同じ反応を示します。「重い」と。1/8スケールなのに700gを超える製品が珍しくありません。内部骨格に金属を使い、パーツの厚みを厚く設計しているためです。2015年発売のアルターのあるキャラクターフィギュアは、スカートの内側までフルカラー塗装が施されていました。ガラスケースに入れたら絶対に見えない部分なのに。

原型師のラインナップも独特です。アルターは2000年代初頭から少数の原型師と長期協業体制を維持してきました。特定の原型師が10年以上同じメーカーでのみ作業するケースは業界でも稀です。おかげでアルターのフィギュアには一貫した美意識があります。顔の造形は写実的だが目元はやや垂れ気味に、身体比率は7頭身基準で、布のシワは重力を誇張して表現します。

しかし発売スケジュールは信用できません。予約後2年待ちは当たり前で、2023年には3年前の予約製品が出荷された事例もありました。コミュニティでは「アルターの予約は投資」という冗談が飛び交います。価格も1/7基準で3万円前後と、同スケールのグッドスマイル製品の1.5倍です。それでも買う理由は一つ。ガラスケースに入れたとき、他メーカー製品と明らかに区別される存在感。

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コトブキヤが特典で勝負する理由

コトブキヤのフィギュアの特徴は、箱を開ける前から現れます。特典。2010年代半ばからコトブキヤは流通先別予約特典戦略を積極活用しました。A店ではアクリルスタンド、B店ではデフォルメパーツ、C店では追加表情パーツ。同じ製品なのに、どこで予約するかによって構成が変わります。

本体のクオリティは価格相応に健闘しています。1/7スケールが1万8千円台で形成されますが、塗装仕上げはグッドスマイルに近接し、造形ディテールはアルターよりやや下程度です。2017年以降発売のコトブキヤの一部ラインは、交換パーツ構成が豊富です。表情3種、手パーツ5種、小物パーツ複数を基本提供する形式です。ねんどろいどのように「遊べる」スケールフィギュアを志向しているように見えます。

ただし量産品質のばらつきには注意が必要です。2010年代後半の一部製品で、台座の塗装不良、パーツの嵌め込みの緩さといった問題がコミュニティに報告されました。彩色見本は完璧なのに量産品で目のプリント位置が微妙にずれた事例もありました。コトブキヤ製品は必ず量産品レビューを確認してから判断するのが安全です。

Photo: animaster / CC BY

マックスファクトリー、figmaのDNAがスケールに移るとき

マックスファクトリーのスケールフィギュアは、静止画より実物の方が優れています。写真では平凡に見えるポーズが、実際にガラスケースに入れると角度によってまったく異なる印象を与えます。上半身をひねり、視線を45度下に落とし、重心を片足に乗せるような「不安定な姿勢」を好んで使います。figmaで鍛えられた動勢設計のノウハウがスケールラインにも溶け込んでいます。

原型段階から複数角度での鑑賞を前提に設計します。2016年発売のマックスファクトリーのある1/7スケールは、正面から見ると静的なポーズですが、側面から見ると上半身が30度ひねられており、背面から見ると髪が扇状に広がっていました。360度どの角度からも「絵になる」設計。ガラスケース内で常に角度を変えながら見続けさせる魔力があります。

価格帯はグッドスマイルと同程度の2万円前後。発売スケジュールは中程度で、予約後1年〜1年半の間に出荷されるのが一般的です。ただし製品ラインナップが他メーカーより少なめです。年間発売タイトル数がアルターやグッドスマイルの半分程度なので、希望のキャラクターがマックスファクトリーから出る確率は相対的に低くなります。

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同じ原型師でもメーカーによって結果が異なる理由

原型師の名前を見て製品を選ぶコレクターも多くいます。2000年代半ばから活動する一部の原型師はファンダムを形成するほどです。ところが同じ原型師が作ったフィギュアでも、どのメーカーから発売されるかによって最終的な仕上がりが変わります。原型は原型師が作りますが、量産金型制作と塗装工程はメーカー内部で進められるためです。

アルターは彩色見本段階で原型師と最低3回以上の修正作業を経ると言われています。原型師が提出した下塗り案をアルター内部チームが再検討して色を調整し、グラデーション範囲を再設定します。グッドスマイルは原型師の意図を最大限尊重しつつ、量産工程で再現可能な範囲内に調整します。同じ原型でもアルターから出ると色がより濃く、グッドスマイルから出ると原作イラストに近い理由です。

塗装方式も異なります。アルターはエアブラシグラデーションを好み、グッドスマイルはパッド印刷を主に使います。2020年以降、一部メーカーはデジタル印刷導入で瞳や複雑なパターンを実現するレベルが大きく向上しました。しかし髪の毛先のクリアパーツ処理や金属塗料の光沢といったアナログ領域では、依然としてアルターが一歩先を行っています。

Photo: animaster / CC BY

彩色見本の写真だけで予約しない理由

メーカー別の量産クオリティの差を最も鮮明に示すのが、彩色見本と量産品のギャップです。彩色見本は少数精鋭の塗装家が手作業で彩色した見本なので、量産工程で100%再現されることはありません。アルターは彩色見本と量産品の落差が比較的少ない方です。そもそも量産を前提に彩色見本を作るためです。一方、一部中小メーカーは彩色見本で華やかに見えたグラデーションが量産品では単色に潰れる場合があります。

2015年前後、コミュニティで「量産テロ」と呼ばれた事件がありました。彩色見本では透明パーツにパール塗料がほのかに塗られていたのに、量産品では透明パーツ自体が不透明プラスチックに変わって出てきた事例。髪のグラデーションが3段階から1段階に縮小された事例。こうした経験が積み重なり、「量産品レビューを見て判断しよう」という信条がコミュニティに定着しました。

グッドスマイルとマックスファクトリーは、彩色見本と量産品のギャップが少ない方に属します。工程が標準化されており、出荷前の品質検査段階が盤石だからです。コトブキヤは製品によってばらつきがあるため注意が必要です。アルターはギャップは少ないものの発売スケジュール延期が頻繁で、予約金を拘束される機会費用を覚悟しなければなりません。

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どのメーカーを選ぶべきか

15年間、各社のフィギュアを交互に集めて導き出した結論は、「万能メーカーは存在しない」ということです。アルターを選べば美しさを得るが時間とお金をさらに払わねばならず、グッドスマイルを選べば安定性を得るが造形的冒険は諦めねばならず、コトブキヤを選べばコストパフォーマンスと特典を得るが品質のばらつきを受け入れねばならず、マックスファクトリーを選べば立体感を得るが選択肢が狭くなります。

メーカーより先に見るべきは原型師と量産品レビューです。同じグッドスマイルでも原型師によって顔の造形スタイルが異なり、同じアルターでも量産時期によって塗装クオリティが変わります。2010年代後半以降、日本のフィギュア業界は外注生産の割合が増え、メーカー内部の品質ばらつきも大きくなりました。ブランドだけ見て予約するには危険な時代です。

私は今でもメーカー別にガラスケースの棚を分けて配置しています。アルターは最も目につきやすい中央上段、グッドスマイルは数量が多いので中段全体、マックスファクトリーは側面照明を受けるコーナー側。それぞれの強みが最も引き立つ場所です。フィギュアは結局、空間に置かれたときに完成するのですから。

よくある質問

初めてスケールフィギュアを買うならどのメーカーがいいですか?

グッドスマイルカンパニーをお勧めします。彩色見本と量産クオリティの落差が少なく、発売スケジュール遵守率が高く、アフターサービス対応も比較的スムーズです。価格対完成度が健闘しており、初スケールとして失望する確率が低いです。組み立て安定性も優れており、開封過程でパーツを壊すリスクが少ないです。

アルターのフィギュアはなぜ高いのですか?

内部金属骨格、厚いパーツ設計、多段階グラデーション塗装、見えない部分までフルカラー仕上げなど、工程単価が高いためです。原型修正回数も多く開発期間が長く、少量生産体制のためスケールメリットも少ないです。造形美を優先し原価を妥協しない会社の哲学が価格に反映されています。

コトブキヤのフィギュアは品質が劣りますか?

価格対比で見れば決して劣りません。ただし製品ごとのばらつきがあるため、量産品レビュー確認が必須です。2010年代後半の一部製品で塗装不良が報告されましたが、2020年以降の発売作は品質が安定化した方です。特典構成が豊富で交換パーツが多く、コストパフォーマンスを重視するコレクターに適しています。

マックスファクトリーのスケールはfigmaとどう違いますか?

figmaは可動フィギュアブランドで、マックスファクトリーのスケールは固定型スタンディングフィギュアです。しかしfigma開発で鍛えられた動勢設計のノウハウがスケールラインにも適用されており、他メーカーより躍動的なポーズが多くなっています。360度どの角度からも絵になる立体設計が強みで、ガラスケース内で照明と角度を変えながら鑑賞する楽しみが大きいです。

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今日も皆様のガラスケースに良いご縁が訪れますように。

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